Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIIB




「なんとかできないの? おじちゃん」


 太一が山波へ問いかける。

子供のお願いを無碍にはできなかったのだろう。

う、と微かに呻いた山波ががしがしと薄くなっている頭をかいた。


「……しかたねえな」


 盛大に吐息して、睨み合うようにしている自分たちへ声をかけてきた。


「……おい! お前たち! 失敗しちまったもんはしかたねぇんだから。

な? 言い合ってないで今日はとりあえず帰るってのはどうだ?」


 山波の提案へ、野木崎が即座に反応する。


「早く帰るのは嬉しいですけど、一つにまとまらなかった原因を

探さないと次も同じことになるんじゃないですか?」


 野木崎の言い分はもっともだ。

すべてを曖昧にしたまま帰宅したので、なんの解決にもならない。

今一度話し合い、みなが納得するような答えを見出さなければ、

何度やっても結果は同じだろう。


「そんなもん!

人には人の都合ってもんがあるんだから! もういいじゃねぇか!」


 山波が不機嫌丸出しといった態で怒鳴ってくる。


(この人、いったい何が言いたいんだ?)


 やはり、怪しい。涼介は山波へ疑いの眼差しを向けた。










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