Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
八
IIIB
「なんとかできないの? おじちゃん」
太一が山波へ問いかける。
子供のお願いを無碍にはできなかったのだろう。
う、と微かに呻いた山波ががしがしと薄くなっている頭をかいた。
「……しかたねえな」
盛大に吐息して、睨み合うようにしている自分たちへ声をかけてきた。
「……おい! お前たち! 失敗しちまったもんはしかたねぇんだから。
な? 言い合ってないで今日はとりあえず帰るってのはどうだ?」
山波の提案へ、野木崎が即座に反応する。
「早く帰るのは嬉しいですけど、一つにまとまらなかった原因を
探さないと次も同じことになるんじゃないですか?」
野木崎の言い分はもっともだ。
すべてを曖昧にしたまま帰宅したので、なんの解決にもならない。
今一度話し合い、みなが納得するような答えを見出さなければ、
何度やっても結果は同じだろう。
「そんなもん!
人には人の都合ってもんがあるんだから! もういいじゃねぇか!」
山波が不機嫌丸出しといった態で怒鳴ってくる。
(この人、いったい何が言いたいんだ?)
やはり、怪しい。涼介は山波へ疑いの眼差しを向けた。
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