Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
八
IIIE
(もうこれ以上山波を怒らせたダメなのに……)
みのりは、野木崎の会話を止めるべく彼女たちの会話に
割り込んだ。
「山波さんのことよりも小越先生の方ですよ!
小越先生、私は先生の言ったことが信じられません」
野木崎を見たあと、麻里へ視線を向ける。彼女は目を丸くすると、
大げさなまでに首を左右に振った。
「私はもう何も隠してはいません!」
どこまで明らかにしていけば、すべてを語ってくれるのだろうか。
みのりは、本音を言おうとしない麻里へさらに踏み込んだ質問を
ぶつけた。
「では、黄梅市を開かれた市にしたいと願っている都がなぜ市長と
獣人の長と密談していたんですか? そのことについて、どう説明
してくれるんですか?」
「市長と獣人の長が密談? それって市長も黄金梅を失くそうと
しているってこと?」
野木崎が麻里より早く反応する。眉間に皺を寄せ考え込む彼女と
同じように、涼介が腕を組みぼそりと言葉を漏らす。
「兄さんが黄金梅を失くそうとしている? そうか……」
みのりは彼の言葉を聞き、あっ、と小さく呟いた。
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