Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIIE




(もうこれ以上山波を怒らせたダメなのに……)


 みのりは、野木崎の会話を止めるべく彼女たちの会話に

割り込んだ。


「山波さんのことよりも小越先生の方ですよ!

小越先生、私は先生の言ったことが信じられません」


 野木崎を見たあと、麻里へ視線を向ける。彼女は目を丸くすると、

大げさなまでに首を左右に振った。


「私はもう何も隠してはいません!」


 どこまで明らかにしていけば、すべてを語ってくれるのだろうか。

みのりは、本音を言おうとしない麻里へさらに踏み込んだ質問を

ぶつけた。


「では、黄梅市を開かれた市にしたいと願っている都がなぜ市長と

獣人の長と密談していたんですか? そのことについて、どう説明

してくれるんですか?」

「市長と獣人の長が密談? それって市長も黄金梅を失くそうと

しているってこと?」


 野木崎が麻里より早く反応する。眉間に皺を寄せ考え込む彼女と

同じように、涼介が腕を組みぼそりと言葉を漏らす。


「兄さんが黄金梅を失くそうとしている? そうか……」


 みのりは彼の言葉を聞き、あっ、と小さく呟いた。










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