Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
八
IIIF
(そういえば獣人の長と市長が話していたことは言ったけど、
黄金梅のことについては話さなかったわ)
市長がその話をしたのは、涼介に会う前の料亭にいたときのこと
だったはずだ。
(それにしても市長が黄金梅をなくしたいと思っていることを
見抜くなんて野木崎さんの想像力はすごいわね)
みのりが感心していると、麻里が眉を下げ弁解してきた。
「私には何も分かりません。ですが、梅畑市長と高松室長が
会っているのは事実です。私は1度目は直接、2度目は遠くから
2人を見ています」
(もしかして先生って何も知らされていないの?)
市長だって涼介に詳しい説明をしていなかった。
それと同じように高松も麻里へ何も教えず、独断で動いている
可能性だって考えられる。
(涼介はどう思ってるんだろう)
みのりは涼介を見た。長兄のことを考えているのだろうか。
顎へ手をあて黙り込んでいた。
「……」
「馬鹿言え! 市長がそんなこと考えているわけがない!」
静まり返る中、山波の一際大きな声が木霊した。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|