Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIIF




(そういえば獣人の長と市長が話していたことは言ったけど、

黄金梅のことについては話さなかったわ)


 市長がその話をしたのは、涼介に会う前の料亭にいたときのこと

だったはずだ。


(それにしても市長が黄金梅をなくしたいと思っていることを

見抜くなんて野木崎さんの想像力はすごいわね)


 みのりが感心していると、麻里が眉を下げ弁解してきた。


「私には何も分かりません。ですが、梅畑市長と高松室長が

会っているのは事実です。私は1度目は直接、2度目は遠くから

2人を見ています」

(もしかして先生って何も知らされていないの?)


 市長だって涼介に詳しい説明をしていなかった。

それと同じように高松も麻里へ何も教えず、独断で動いている

可能性だって考えられる。


(涼介はどう思ってるんだろう)


 みのりは涼介を見た。長兄のことを考えているのだろうか。

顎へ手をあて黙り込んでいた。


「……」

「馬鹿言え! 市長がそんなこと考えているわけがない!」


 静まり返る中、山波の一際大きな声が木霊した。










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