Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
八
IIIG
(世間一般の認識は山波さんのような考えよね)
黄梅市をまとめている人間が、その都市自体を壊そうとしている
などと普通は思いつきもしないだろう。
(何か先生が知っている情報はないのかしら?)
聞き出せるものはすべて聞き出してしまったほうがよい。
みのりが頭を悩ませていると、太一が涼介の袖を引っ張るのが見えた。
「お兄ちゃん獣人の長って誰のことを言ってるの?」
「うーん……。実は俺も知らないんだ。会ったことないから」
「そうなんだ……」
困り顔の涼介に、太一が幾分ガッカリした様子で相槌を打っていた。
なんとなく耳に入ってきた彼らの会話に、みのりは麻里への質問を
閃く。
「なら獣人の長についてはどうなんですか? 彼らが市の解放を
望んでいるとは思えません。本当は別の目的があるんじゃ
ないですか?」
麻里の口から出てくる情報はこれといったものがない。
せめて1つでもいいから有益なものが欲しい。みのりはジッと麻里を
見据え、彼女の答えを待った。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|