Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIIG




(世間一般の認識は山波さんのような考えよね)


 黄梅市をまとめている人間が、その都市自体を壊そうとしている

などと普通は思いつきもしないだろう。


(何か先生が知っている情報はないのかしら?)


 聞き出せるものはすべて聞き出してしまったほうがよい。

みのりが頭を悩ませていると、太一が涼介の袖を引っ張るのが見えた。


「お兄ちゃん獣人の長って誰のことを言ってるの?」

「うーん……。実は俺も知らないんだ。会ったことないから」

「そうなんだ……」


 困り顔の涼介に、太一が幾分ガッカリした様子で相槌を打っていた。

なんとなく耳に入ってきた彼らの会話に、みのりは麻里への質問を

閃く。


「なら獣人の長についてはどうなんですか? 彼らが市の解放を

望んでいるとは思えません。本当は別の目的があるんじゃ

ないですか?」


 麻里の口から出てくる情報はこれといったものがない。

せめて1つでもいいから有益なものが欲しい。みのりはジッと麻里を

見据え、彼女の答えを待った。










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