Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIIH




「満さんはただ人間に酷いことをされただけなんです!

話し合えば分かり合えるはずです!」


 麻里の口からもたらされたものは彼女自身の感情的な考えだった。

期待していた分、みのりは肩透かしを食らった気分になる。あ然と

しつつも何か言おうと口を開くが、野木崎が瞳を輝かせ割って

入ってきた。


「麻里さんは嘘をついてないと思います。だって獣人の満君のことを

こんなに想ってるんですもの。みんなの幸せを願ったに違い

ありません。だから私は山波さんが怪しいと思います!」


 野木崎が胸を張り、山波を指差す。彼女の言う通り、都の人間

だからと言っても、麻里は何も情報を持っていなかった。

その麻里が願いを違える可能性は低いだろう。


(でもだからといって先生が裏切らないっていう確証はどこにも

ないのよね……)


 今探しているのは、違う願いを唱えた人物だから問題ないと

言われればそれまでだ。しかし、みのりは今一つ釈然とできずに

いた。だが、他の面々の意識はすでに野木崎と山波へ向いている。

みのりは自分の考えを胸の隅へおいやり、野木崎たちの会話を

見守ることにした。










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