Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIIIB




「山波さん、野木崎さんの言ってることは本当なんですか?」


 正直彼が元凶であることは明白なのだが、

あえて山波へ問いかける。

 この際だ。

 とりあえず、思っていることはすべて吐き出してもらおう。

決意して山波を見やると、

彼は無言のまま、ぶるぶると身体を震わせ始める。


「おじちゃん?」


 太一が眉根を寄せ、心配そうに山波を見上げた。

よほど不安なのだろう。袖を掴んできたまま離そうとしない。


(この子の前でこれ以上人が争うところを見せたくない)


 そうは思うが、

太一もこの件に関しては立派な関係者の一人だ。


(何も知らずにいるよりは、

きちんと事実を見てもらったほうがいいのかな?)


 思えば自分もいつも何も知らされないことが辛かった。

たとえ守られていたのだとしても、後から事実を知らされるのは悲しい。

阻害された気持ちのまま歪んでしまうより、

しっかりと現実を受け止められるようになることのほうが、

大切な気がする。

涼介は袖を掴んでいる太一の手を、ゆっくりと握り込む。

今はこれくらいのことしかできないが、

少しでも少年の勇気の一助になれたらいい。

願いつつ見やる視線の先には、全身を震わせている山波がいる。


「山波さん、本当のことを言ってください」


 みのりの言葉に、山波が俯いた。

重い沈黙が辺りを支配し、一同は彼の言葉を待つ。

だが、山波は黙したまま、何も語ろうとしない。

涼介は、太一の手をより強く握り締めた。


「……だよ……」


 ふいに掠れた声が聞こえ、涼介は眉根を寄せる。

前方の山波へ目を凝らすと、山波が顔を上げた。










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