Gold Plum

第五章


自覚


〜みのり＆涼介の場合〜


八


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「山波さんの言いたいことは分かります。私だって家族の幸せを

願っています。でもだったらなぜ、みんなで話し合った時に

言わなかったんですか？」


　野木崎の声に、みのりは顔をあげる。山波だけを見据えて

語りかける眼差しはとても真剣で、みのりは二人の会話に黙ったまま

耳をかたむけた。


「俺にとっては梅宮家が全てだ。だから一度はみのり様の意見に

従おうとした。だが、人の性根（しょうね）は変わらねえ！

変えられねえんだよ！」


　山波が何かをこらえるように眉間に皺を寄せ、小さく首を左右に

振る。みのりはその姿に、初めて彼の苦悩を知ったような気がした。


　これまでにも何度か獣人に対して嫌悪を抱いている話を

聴いたことはあった。しかし獣人たちの長老と親しくしている

ところなどを見ていたため、本気にしてこなかったのだ。


（それもこれも梅宮の娘である私がいたから……。

あの時、私が手伝えなんて言っちゃったからよね……）


　話し合いの時も、自分のせいでずっと言い出せなかったのかも

しれない。みのりは申し訳ない気持ちでいっぱいになった。