Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIIIE




(結局私って梅宮が嫌で家出したのに、梅宮の力を使って家出を

しているんだわ)


 それも梅宮を信じてついてきてくれている人間を、

次期当主になるための試験だと騙して。


(これじゃあ、先生のこと言えないわね)


 みのりは、麻里を裏切り者だと糾弾した時のことを想い返し、

自嘲気味に笑う。


(私、何にも見てなかったんだわ……)


 山波が何を感じ、どう思っているのかを知ろうともしなかった。

ただ素直に願いを聞いてくれる彼の好意を、当たり前のように

受け入れているだけだった。


(これじゃあ私が何を言ったって山波さんの心には

響かないわよね……)


 今の自分に彼を説得することはできそうにない。山波の本質を

見抜けなかったのは、自分の落ち度だ。

みのりが思案に暮れていると、きっぱりと言い切る野木崎の声が

響き渡った。


「変えられないってなんですか? ただみんなが幸せになれるように

願えば良かっただけじゃないですか!

そうすれば黄金梅が実ったのに……」

「そ、そいつは……」


 口ごもる山波を尻目に、みのりは野木崎の言葉に心を打たれていた。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む