Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
八
IIIIF
(そうよ。もう私だけの問題じゃなかったんだわ)
黄金梅を実らせるために、すでにこれだけの人が携わっている。
彼らの願いを叶えるためにもここで諦めるわけにはいかない。
(山波さんを巻き込んだのは私だもの。
私が彼を説得しなくってどうするのよ!)
みのりは自らを奮い立たせるため、盃を持っている手に力を込めた。
そして山波をじっと見つめる。
「私の都合を押しつけてしまったことには謝罪します。
ですが、山波さんあなたは自分だけの幸せを望もうとして私たちを
蔑ろにしたんですよ。
そのことについてどう責任を取るおつもりですか?」
違う。こんな言い方をするつもりではなかった。もっと穏やかに
持っていくつもりだった。それが蓋を開けてみれば、真逆の対応を
している。山波へ向けているようで、実際は自分を諌めたくて
言ったのかもしれない。言葉を重ねるたびに雲っていく彼の表情が
自分を見ているようで、みのりは胸が苦しくなった。
「う……」
(山波さんにちゃんと謝らなきゃ。そしてみんなにも本当のことを
伝えよう)
そしてすべてをわかってもらった上で、
今度こそ皆の願いを1つにして黄金梅を実らせるんだ。
みのりが、苦悩する山波の表情を眺めながら決意していると、
涼介が真剣な眼差しで彼を見ていた。
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