Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





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(そうよ。もう私だけの問題じゃなかったんだわ)


 黄金梅を実らせるために、すでにこれだけの人が携わっている。

彼らの願いを叶えるためにもここで諦めるわけにはいかない。


(山波さんを巻き込んだのは私だもの。

私が彼を説得しなくってどうするのよ!)


 みのりは自らを奮い立たせるため、盃を持っている手に力を込めた。

そして山波をじっと見つめる。


「私の都合を押しつけてしまったことには謝罪します。

ですが、山波さんあなたは自分だけの幸せを望もうとして私たちを

蔑ろにしたんですよ。

そのことについてどう責任を取るおつもりですか?」


 違う。こんな言い方をするつもりではなかった。もっと穏やかに

持っていくつもりだった。それが蓋を開けてみれば、真逆の対応を

している。山波へ向けているようで、実際は自分を諌めたくて

言ったのかもしれない。言葉を重ねるたびに雲っていく彼の表情が

自分を見ているようで、みのりは胸が苦しくなった。


「う……」

(山波さんにちゃんと謝らなきゃ。そしてみんなにも本当のことを

伝えよう)


 そしてすべてをわかってもらった上で、

今度こそ皆の願いを1つにして黄金梅を実らせるんだ。

みのりが、苦悩する山波の表情を眺めながら決意していると、

涼介が真剣な眼差しで彼を見ていた。










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