Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIIIG




「山波さん。変わることに恐怖を感じる気持ちは分かります。

あなたがご自分に誠実であるということも。

ですから、お願いします。もう一度あなたに家族だけでなく、

みんなにとっての幸福がなんなのかを、

考え直してみてはくれないでしょうか」


 澄んだ瞳で誠実に訴える涼介の言葉が胸に突き刺さる。

みのりは胸元へ手をあてた。


(皆を騙してる私は山波さんと違って誠実じゃないものね……)


 唇を噛んで苦痛をやりすごしていると、山波が涼介から距離を

置くように1歩後ずさる。


「俺は、俺は……」

「おじちゃん、みんなにごめんなさいって言おう。

そうしたらみんな許してくれるよ?」


 太一が山波の袖を引っ張り、潤んだ瞳で懇願した。

だが、少年の健気な態度すら山波の頑なな心には届かなったようだ。


「俺は! 俺はもう十分考えた。俺は間違っちゃいない。

間違ってなんかいないんだ!」

「おじちゃんのわからずや! いい人だと思ってたのに!」

「ぐっ……! ……俺だって願ったんだ! 願ったんだよ!」


 顔を真っ赤に染めた太一の一喝が山波にはたえられなかった

みたいだ。

突然その場から逃げるようにどこかへ走って行ってしまった。










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