Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





E




「山波さんは、私が協力を頼んだ人なのよ!

私は必ず彼を追いかけるわ」

「いや、みのりさんは来ないほうがいい。

危険が及ぶかもしれないし。自分の兄に向かっていうのもなんだけど

あの人たまに危ない時あるから」


 涼介がためらう素振りも見せずに拒否してくる。

顔をしかめ語られた言葉に、みのりは胸が痛んだ。


「それはさっき聞かせてもらったから、なんとなくわかるけど……」


 だったらなおのこと彼を一人で行かせたくない。再度訴えかけようと

口を開く。しかし不安そうに見てくる紅に腕を引かれ、言うことが

できなかった。


「さっき?」


 涼介の子供時代のことを紅が知っているのかどうかはわからない。

だが仮に知らなかった場合、自分が先に知っていたとわかれば彼女の

立場としてはショックかもしれない。みのりは咄嗟にそう判断し、

誤魔化すことにした。


「ううん、なんでもないのよ紅。

さっき野臥間さんのお宅にいたときに少しだけ話しただけだから」


 紅と話している間に、涼介は自己完結してしまったらしい。

野臥間の家で話したことを蒸し返してきた。










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