Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
九
F
「うん。なら、碧さんたちと一緒にいたほうがいい。
なんなら本家に戻るのでもいいし」
「本家には戻らないって言っているじゃない!
それに碧と紅は私と一緒についてきてくれるわ。ねえ、そうよね?」
間髪を入れずに涼介へ告げる。そしてそばに控えている碧と紅へ
視線をやった。真っ先に頷く紅の隣で碧が左掌を胸元へつけ、
恭しく頭を下げる。
「ええ。僭越ながらお供させていただきます」
碧の言葉に涼介が意思を曲げた。嫌々首を縦に振っている、と
言わんばかりに間を開けて承諾を口にした。
「……わかったよ」
(なぜかわからないけど、涼介が碧のことを尊敬してくれて
本当良かったわ)
そうでなかったら認めないと言って、まだごねていたに違いない。
みのりがホッと胸をなで下ろしていると、太一が会話に加わってきた。
「ねえねえ、これからお兄ちゃんの家に行くの? やったー!」
瞳を輝かせ、嬉しそうに飛び跳ねている。
遊びに行くわけではないのだが、太一にしてみたらどちらでも
同じことなのかもしれない。
みのりが肩を竦め苦笑していると、涼介が慌て出した。
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