Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





G




「太一君はダメだよ。お家に帰らないと」


 涼介が太一と目線を合わせるためにしゃがみ込む。

そしてはしゃぐ少年の肩に手を置いた。


「今度もっとゆっくりした時においで。お菓子用意して待ってるから」


 涼介が唇を尖らせる太一を宥めすかす。その彼を援護するように、

野木崎が言葉を重ねた。


「そうよ。梅畑君の言う通りだわ。もう夜も遅くなってきてるし、

お母さんも心配してるわよ」

「えーだって、みんなおじちゃんを追いかけに行くんでしょう。

ぼくだけのけ者はヤダよー」


 頬を膨らませ、嫌だ嫌だと顔を横に振る太一に、

野木崎があっ気らかんと言い放つ。


「私は行かないわよ。申し訳ないけど家族も心配してるだろうしね。

最初からみのり様にお任せするつもりだったわ」


 人の都合など考えもしなかったせいで山波のようなことが起きて

しまったのだ。ここは未成年の太一よりも野木崎の意見を優先

させよう。みのりは彼女の言葉に、飛びつくように頷いた。


「はい。もちろんです。太一君も心配しないで」

「……うーん」


 満面の笑みを少年に向けるが、太一は納得できないようだ。

曖昧に頷き、ちらりと涼介を見た。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む