Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





I




「あの、律子さん。私、律子さんたちについていってもいいですか?」


 言葉を発したのは小越だった。

 ためらいがちに野木崎へ尋ねるのを眺めていると、

野木崎があっさりと頷く。


「ええ、もちろんいいわよ」


 軽い口調で了承する野木崎を前に、小越が飛び跳ねた。


「よかった! ちょっとご相談したいことがあるんです。

よろしくお願いします!」


 嬉しげに野木崎の手を取りぶんぶんと、振り回す。

 涼介は彼女の突飛な行動に目を点にしていたが、

相当慣れているのか野木崎が不平を言うことはなかった。

 両手を上下されたまま、視線を向けてくる。


「それはそうと、なんで山波さんが梅畑君の家に行くのよ?

山波さんって市長と知り合いなの?」


 野木崎の言葉に涼介は首を横に振る。

「それはないような気がしますが。

兄の雅秋が黄金梅を使ってなんらかをたくらんでいる

かもしれないのは確かだと思うんです。小越さんも見てるっていうし」


 口に拳をあてつつ答えると、小越も野木崎の手を離し話へ乗ってくる。


「はい。私もそう思います。

少なくとも何かを考えていらっしゃることは確かだと思います」


 真剣な面持ちで同意してくる小越の様子に、少しばかり驚く。

 ドタバタしているだけかと思ったら、見ているところは見ているらしい。


(変わった人だなあ)


 でもこの女性の彼氏になる人は大変そうだ。

 しみじみ思って眺めていると、野木崎が再び口を開いてきた。










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