Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
九
I
「あの、律子さん。私、律子さんたちについていってもいいですか?」
言葉を発したのは小越だった。
ためらいがちに野木崎へ尋ねるのを眺めていると、
野木崎があっさりと頷く。
「ええ、もちろんいいわよ」
軽い口調で了承する野木崎を前に、小越が飛び跳ねた。
「よかった! ちょっとご相談したいことがあるんです。
よろしくお願いします!」
嬉しげに野木崎の手を取りぶんぶんと、振り回す。
涼介は彼女の突飛な行動に目を点にしていたが、
相当慣れているのか野木崎が不平を言うことはなかった。
両手を上下されたまま、視線を向けてくる。
「それはそうと、なんで山波さんが梅畑君の家に行くのよ?
山波さんって市長と知り合いなの?」
野木崎の言葉に涼介は首を横に振る。
「それはないような気がしますが。
兄の雅秋が黄金梅を使ってなんらかをたくらんでいる
かもしれないのは確かだと思うんです。小越さんも見てるっていうし」
口に拳をあてつつ答えると、小越も野木崎の手を離し話へ乗ってくる。
「はい。私もそう思います。
少なくとも何かを考えていらっしゃることは確かだと思います」
真剣な面持ちで同意してくる小越の様子に、少しばかり驚く。
ドタバタしているだけかと思ったら、見ているところは見ているらしい。
(変わった人だなあ)
でもこの女性の彼氏になる人は大変そうだ。
しみじみ思って眺めていると、野木崎が再び口を開いてきた。
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