Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





G




 みのりの言葉に涼介は頭をかく。


「悪かったよ。でも、あの時は喜んでほしかったんだ。

けど、あんまり笑ってくれないもんだからじれちゃったんだな。きっと。

けどまあ、ロクな大人にならないなんて言われるとは思わなかったけどさ」


 苦笑しながら告げるとみのりが目を見開いた。


「私そんなことを言ったの? 全然覚えていないわ」


 どうやら本当に覚えていないらしい。

みのりらしいな、と思い自然と口元が綻ぶ。


「でもきっと友達がいないなんて図星を指されて悔し紛れに

言っちゃったんだと思うわ」


 溜め息を吐きながらみのりが話す。


(友達がいない?)


 紅と碧がいるではないか。

みのりの意外な発言に涼介が瞬きを繰り返す。


「何言ってるんだよ。

君には碧さんも紅さんもお兄さんもご両親も側にいるじゃないか」


 本当に孤独な自分とは、似ているけれど違う。

それが羨ましくもあり、眩しくもある。


(誰かに愛されている人間って強いもんだもんな……)


 花のような横顔を眺めていると、みのりの表情がにわかに曇った。










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