Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
二
H
「碧や紅は友達ではないわ。
それに両親やお兄様も普通の家族のような関係じゃないもの」
みのりの言葉に涼介は唸る。
「まあ、確かに普通の家族ではないかもしれないけれど」
言葉を切って、美都子との会話を思い起こした。
「それでも美都子様が
美都子様なりに君を見守ろうとしているのだけはさっきわかったよ。
やり方が間違っているけど正直うらやましいよ」
本心から告げるとみのりがゆるゆるとかぶりを振る。
「守ろうとしているのは、次期当主よ。それと黄梅と黄金梅よ。私ではないわ」
絶望の色を濃くする伏せられた瞳を前に、涼介は吐息する。
確かにあんな感じの接し方が常になっている美都子のことだ。
みのりに対して少しばかり、
いや、かなり不器用な態度や発言をしているに違いない。
それでも、涼介には彼女が母としての愛情を
多分に持っているように感じられた。
(どっちかっていうと過保護なんじゃないかなあ……)
ひどくねじれてしまっているが、
それはきっとコミュニケーション不足なだけなのだろう。
「それは違うと思うな。絶対に、さ」
断言すると、今度はみのりがくすりと肩を揺らしてきた。
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