Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
二
IB
「で、でもあなたの家ってちょっと変わってるわよね。
ま、まあ梅宮も大差ないけど」
つっかえながらも言葉を続けていくうちに、重要なことに気づく。
「そういえば市長の残虐さに驚いて聞き流しちゃったけど、
あなたが梅畑の当主になるの?
だったらなんで私とお見合いなんてするのよ」
つまりは始めから夫になる気などなかったということだろう。
みのりはちくんと胸に棘が刺さったかのような痛みを感じた。
あれほど嫌がっていたお見合いだというのに、涼介を好きだと
わかったとたん抱いていた気持ちが真逆になるのだから呆れてしまう。
みのりは泣きたい気持ちをぐっとこらえるために、唇を噛みしめた。
「だから、雅秋兄にはその気がないってことだろう?
俺もその気はないし」
やっぱり夫になるつもりはないのか。
直接涼介から言い切られた言葉に想った以上にショックを受ける。
しかし彼は、そんなこちらに気づくこともなく話を続けた。
「まあ、両親はそう思ってるのかもしれないけど、そもそも祖父母は
『涼の字を継がせる』って言ってるだけで『当主になれ』とは
言ってないからね」
本人にその気がないのに、親がどう思うかなど関係ないではないか。
命令だからと言って夫になられるくらいなら
梅畑の当主になってもらったほうがいいに決まっている。だが、親や
兄弟の言いつけよりも梅宮の当主の命令のほうが強制力は強いはずだ。
(結局お母様が悪いんじゃない)
みのりは、八つ当たりをするように涼介を睨みつけた。
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