Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
二
IF
「雅秋兄が? いったいその話をどこで?」
みのりの話に涼介は身を乗りだす。
「さっきそこで獣人の長と市長が話してて。
その中に高松さんの名前が出てきたの」
歯切れの悪い口調で言葉を紡ぐみのりに涼介は嘆息した。
「ああ、都の人か。……その獣人の長ってのはどんな人なんだい?」
尋ねると、みのりが慎重な面持ちで質問に答え始める。
「ひどく人間を嫌っているわ。でも市長とは手を組んでるみたいなの。
野木崎さんを救出しに行ったときに狸の獣人が襲ってきたでしょう?
あれは市長が長に頼んだみたいなの」
気遣わしげな様子で告げられた言葉に涼介は頬をかく。
話し相手の身内が悪巧みに関わっているかもしれないことを指摘するのは、
さぞ勇気がいることだろう。
(まあ、なんとなく予想はしてたけど)
長兄が何か良からぬことを画策しているだろうことは、
早くから予感していた。
そうでないといいな、と思いつつ、
それでも拭えなかった不信感の正体を突き止められてほっともしている。
「つまり、その獣人の長と雅秋兄、
それから都の人間が結託して何かを企んでる、ってことかい?」
改めて確認すると、みのりが頷いた。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|