Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





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「ええ。

あ、でも獣人と市長は少し足並みがそろってないみたいだったわ」


 獣人を嫌っている長兄のことだ。

獣人の長を上手く丸め込めずにいるといったところだろう。

面倒なことになりそうだな、と涼介は内心で溜め息を吐いた。


「そうか……。そういうことなら、

都の人間と親しそうな小越さんに少し探りを入れてみたほうがいいかもな」


 小越ならばそれなりに情報を引き出すことも可能だろう。

ころころとよく転げていて少し頼りない印象の彼女だが、

それでも教師だ。

場合によっては味方に引き入れることもできるかもしれない。

だが、小越、という言葉に、みのりが激しく反応した。


「それよ! 小越先生も都の人間みたいなの。

先生を学園に入れたのも市長だったみたいで。

それに高松さんは教育委員会の人間だって言ってたけど、

本当は首都再計画執務室の室長らしいわ」


 みのりの説明に涼介は首をかしげる。


「都の人間がなんでそんなことできるんだ?

雅秋兄が関わってたとしたってそんな簡単に書類を作れるほど

黄梅の鎖国制度は甘くないはずだろ?」


 現在、黄梅市への入市はかなり厳しいと聞く。

涼介だって特別なことがないかぎり黄梅から出ることはめったにない。

入市審査がきっちりとしているから許可を申請しなければ、

都に行くことなどできはしない。

それなのに、

なぜ高松という男はそう安々と入ることを許されたのだろう。

腕を組み考え込んでいると、みのりが同意してきた。










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