Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
二
II
(やっぱり何かの勘違いじゃないのか?)
涼介はそう結論づけ、口を開く。
「そうか……。でももしその高松って人が梅宮家の人間だとしても、
忠臣様が美都子様を裏切っているはずがないと思うよ。
忠臣様が美都子様を裏切っていることに気づかない彼女ではないし、
裏切っていたとしたらそれを許すほど甘い人でもないからね」
「でもそれなら高松さんはいったい誰の子供だっていうの?
あなたのお兄さんと変わらない年でしょう?」
悄然とした様子のみのりを安心させたくて、涼介は知恵を絞る。
「可能性としては先代の子ってことも考えられるんじゃないかな」
ふと思いついたことを口にすると、どうもそれが事実のような気がしてきた。
(そうだよ。そのほうが納得がいく)
先代の夫のことはよく知らないが、
昔であればそういったことをよくあることかもしれない。
(だとすると、美都子様はそのことを……)
思いを巡らせていると、みのりが食いついてきた。
「先代の子? お祖父様の? そうね、その可能性もあるわね。
ということは、あの人は私の兄か叔父になるってことよね?
お母様が高松さんの存在を知らないはずがないわよね?」
尋ねてくるみのりに涼介は首肯する。
「そうさ。だから美都子様は高松の存在をとっくに知っているんだと思うよ」
多分、高松は梅八家から一線を画す存在であり、
美都子たちから入市を黙認されている身なのだろう。
(そんな話、今まで聞いたことなかったけどなあ……)
長兄はその事実を知っているのだろうか。
つらつらと思いを馳せていると、みのりが身を乗りだしてきた。
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