Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIA




(なんで涼介にはわかっちゃうんだろう)


 昔から図星を突くのが本当にうまい。だから素直になれず反発して

しまったのだが、彼を好きだと自覚してしまった今はそんなふうにも

なれない。みのりは自然と緩みそうになる頬に力を入れ、

わざと怒った振りをした。


「そうね。お母様は私とは全然違うわ。それなのにそのことを

気づいてくれないの。だから私は黄金梅を実らせることにしたのよ」

「本気でぶつかってみれば必ず気づいてくれるよ。君が戦うなら

最後までその手伝いをするよ」


 柔らかく微笑む涼介の手が肩に置かれる。そのずっしりとした重みと、

じわりと広がってくる温もりに心臓の鼓動が加速した。

きっと顔が真っ赤に染まっているに違いない。

みのりは上昇する体温と真っ直ぐ見てくる青年の眼差しに狼狽えた。


(もうこんなんじゃ私の気持ちなんてすぐにバレちゃうじゃない!)


 涼介と目線を合わせないよう瞳を左右に動かす。ふと彼の言葉に

懸念を抱いた。


「本当に? 市長のことを裏切っちゃうかもしれないのよ?」


 顔色を窺うように逸らしていた視線を戻す。すると涼介が安心しろと

言わんばかりにニカリと白い歯を見せて笑った。










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