Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
二
IIC
「え、何よ、それ変な人」
自分ばかりが翻弄されていることが少し悔しくて。みのりは
可愛くない態度をとる。しかし、涼介はそれすらも予測済みと
いったふうに声を立てて笑った。
「ははは」
無邪気な顔で目尻を下げる姿に、拗ねてた気分が一瞬で霧散する。
気がつけばみのりも一緒になって笑っていた。
「ふふふ。まあいいわ。それじゃ黄金梅を実らせるために中にいる
人たちと相談しましょう?」
「ああ。行こうか。さっきのこと謝らなくちゃならないし」
涼介がさっと立ち上がり、手を差し出してくる。
みのりはためらうことなくその手を取った。
「ふふ、ありがとう。別に謝らなくても大丈夫よ。全然私のことを
助けてくれないで、野次馬してるだけだったんだから」
思い出しただけで腹立たしさがよみがえってきそうだ。
人が必死に助けを求めていたというのに、紅以外はにやにやと去って
行った。あれでも成人している大人なのだろうか。
(本当薄情な人間たちよね)
きっと部屋に戻ってから、自分たちのことで盛り上がったに
違いない。あとで必ず報復してやる。みのりが心に決めていると、
涼介がぽつりと呟いた。
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