Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
三
@
手をつないだまま部屋に入る。
文句を言われないのを良いことにそのままでいたのだが、
本当のところどう思っているのだろう。
(碧さんに見られると誤解されるんじゃないのか?)
そう危惧しながらも手を離すことができずにいる。
(なんでか知らないけど靴も片手で揃えてくれてたしな……)
友人として認めてくれたということだろうか。
悶々となりながらもみのりについていくと、
やがて一間廊下の先の一際大きなふすまにたどり着く。
みのりがゆっくりふすまを開けると同時に、その声は聞こえた。
「お、ご両人のお出ましだ。ずいぶんと時間がかかったなー」
目尻が鋭い印象の老人が、容姿とは真逆な、
のんびりとした口調で話かけてくる。
「ちょっと朔ちゃん、そんな野暮なことは聞いちゃダメよ。
二人の秘め事なんだから」
背の低い可愛らしい印象の老婆が窘める。
言葉の内容には引っかかりを覚えたが、まずは謝罪が先だろう。
涼介はみのりの手を離し、頭をさげた。
「先程は大変申し訳ございませんでした」
深々と頭をさげるも、それに対する答えはない。
代わりにみのりの慌てた声が聞こえた。
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