Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





D




「みのり様もそこの青年もプリン持ってきたから、座って食べー」


 入り口付近で紅と話していると、野臥間が割り込んできた。

涼介が両手で抹茶色の容器を受け取り、頭を下げる。


「あ、ありがとうございます」

(涼介どこに座るのかな?

さり気なく隣に座るのってありかしら?)


 眼の端で彼の行動を窺っていると、太一が突如大きな声を出した。


「ぼくもう大人だよ。

お兄ちゃんとみのり様がラブラブだって知ってるんだから!」


 それぞれが自由に話していたざわめきが一瞬にしてなくなる。

みのりは恥ずかしさから口の開閉を繰り返す。

その間に涼介がすぐさま訂正してきた。


「ら、ラブラブじゃないよ! 太一君!」


 大げさに顔と手を横に振る青年に、みのりは肩を落とす。


(やっぱり嫌われてるんだ……)


 あんな態度をとってきたのだから当然の結果だ。

自己嫌悪に陥っていると、嬉々とした様子で麗が口を開く。


「あらあら、なかなかの慧眼ね」


 恋の話にはしゃぐ女子高生のようなテンションで太一を見る

老女の姿にみのりは血の気が引いた。










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