Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
三
F
「ふぅー、まあいいわ。太一君、あとでちゃんと話しましょうね」
太一に釘を刺してから、みのりは紅と一緒に空いている場所へ座る。
かいがいしくビニールに入ったスプーンを取り出して渡してくる紅へ
礼を言い、プリンを食べ始めた。
(せっかく涼介の隣に座ろうと思ってたのに……)
太一の勘繰りが無ければ、有耶無耶のまま座れたかもしれない。
スプーンからこぼれ落ちそうなプリンを八つ当たり気味に口の中へ
放り投げる。ほろ苦く感じるカラメルが今の心境を語っているようで
少しだけ切なかった。
「お、お兄ちゃんどうしよう? 助けて」
みのりがプリンを食べている間に涼介は太一の近くへ移動していた
ようだ。未だ立ち尽くしている彼の膝下に太一が縋りついていた。
涼介はそんな少年の頭をポンポンと優しくなでるように叩く。
その表情が弟を可愛がる兄のようで、ほほえましく映った。
プリンを掬っていた手を止め、涼介たちに見惚れていると
おもむろに視線をずらした彼と目が合った。
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