Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
三
G
ドキドキと胸を高鳴らせて涼介からの言葉を待つ。
しかし、彼の口から吐き出された言葉は、こちらを非難する内容
だった。
「みのりさん、太一君をあんまりいじめないでやってくれよ」
涼介の言葉が刃になって心に突き刺さる。
彼に嫌われないためにやったことが裏目に出てしまったみたいだ。
それでも素直に謝ることができず、可愛くない言い方をしてしまう。
「何よ。涼介は私が悪いっていうの?」
「そうじゃないよ。そうじゃなくて、勘違いだけど子供相手に
そんなムキになる必要ないだろう?」
「やっぱり私が悪いって言ってるじゃない。
太一君の肩ばっかり持って」
ずるい、と続けようとした言葉は、
涼介の困り顔を目にして飲み込んでしまった。
部屋へ入る前はちゃんと話せていたはずなのに、どうして周囲に人が
いるだけで上手くいかなくなるのだろう。
みのりは滲み出そうになる涙をこらえるために俯いた。
「もってないって。そんなことばっかり言ってると碧さんに
嫌われるぞ」
なぜ太一の話をしていたのに碧の名前が出てくるのだろうか。
そのおかげで涙は引っ込んだが、涼介の意図がわからずみのりは
顔をあげた。
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