Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





G




 ドキドキと胸を高鳴らせて涼介からの言葉を待つ。

しかし、彼の口から吐き出された言葉は、こちらを非難する内容

だった。


「みのりさん、太一君をあんまりいじめないでやってくれよ」


 涼介の言葉が刃になって心に突き刺さる。

彼に嫌われないためにやったことが裏目に出てしまったみたいだ。

それでも素直に謝ることができず、可愛くない言い方をしてしまう。


「何よ。涼介は私が悪いっていうの?」

「そうじゃないよ。そうじゃなくて、勘違いだけど子供相手に

そんなムキになる必要ないだろう?」

「やっぱり私が悪いって言ってるじゃない。

太一君の肩ばっかり持って」


 ずるい、と続けようとした言葉は、

涼介の困り顔を目にして飲み込んでしまった。

部屋へ入る前はちゃんと話せていたはずなのに、どうして周囲に人が

いるだけで上手くいかなくなるのだろう。

みのりは滲み出そうになる涙をこらえるために俯いた。


「もってないって。そんなことばっかり言ってると碧さんに

嫌われるぞ」


 なぜ太一の話をしていたのに碧の名前が出てくるのだろうか。

そのおかげで涙は引っ込んだが、涼介の意図がわからずみのりは

顔をあげた。










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