Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
三
ID
(なぜ一人で黄梅を出たのかしら?)
黄梅から出るということは、黄梅にいたくないということだろう。
それならば二度と黄梅へ入ることのないように母子(おやこ)で
出てしまったほうがいいのではないだろうか。
(梅宮に囲われているから一緒に出ていけなかったとか?)
しかしみのりは導き出した答えをすぐに否定した。
なぜなら当主である美都子が高松を一般の市民と同じ扱いをしている
からだ。仮に高松を梅宮の血筋だと認めていたら、彼が黄梅から
出ることはもちろんのこと。出入市を繰り返すこともできないはずだ。
しかし現状、高松は簡単に出入市ができている。だが、それが逆に
不自然にも感じられた。
(出入市の手続きってすごく面倒なはずなのよね。
一人で出るくらいなら親子で黄梅から出たほうが楽なはずなのに、
それをしないってことは……誰かに命令されたから、とか?)
そこまで考え、ハッとする。
(市長が高松さんに命令してるって考えれば辻褄があうんじゃない?)
市長は高松や高松の配下である麻里に便宜を図っていた。
それはつまり市長の企みにあの二人が深く関係しているということ
ではないだろうか。
(何が目的なんだろう?)
考えれば考えるほど謎が深まっていく。
みのりは纏まらない思考に顔をしかめた。
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