Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
三
IE
一人で悶々としている間に高松は、麗との話を終えてしまって
いたらしい。朔太郎がよいせっとと、ちゃぶ台に手を置きながら
立ち上がった。
「にしたって、ここから人間たちが住むエリアまで歩くのは
大変だろう。わしもお暇するから車で送って行ってやろう」
「いえいえ。お気遣いなく。歩いて帰りたい気分なので」
「遠慮すんなってー」
ガハハハと笑う朔太郎のあとを、いつの間にか帰り支度を終えた
麗が続いた。
「そうよ。私も一緒に送ってもらうんだから気にしないで」
「麗ちゃんも帰るんだべか?」
腰をあげようとする野臥間へ麗が手を挙げて制す。
「ええ。私も関係者じゃないですからね」
ふふふと微笑む麗の横で高松が腰をかがませながら頭へ手をやる。
「いえ、本当にお構いなく。それでは皆さん、失礼いたします」
「それじゃ、みのり様、何かありましたらいつでもいらしてください。
わしらがお味方いたしますから。
いいから、いいから年寄りの言うことは聞いとけー」
問答無用と言わんばかりに朔太郎は高松の腕を取った。
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