Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
三
IF
「ちょ、ちょっと、は、離してください! え? え? ちょっと?」
がしっと麗に腕を抱えられ高松が慌てる。
抵抗しようとするがしきれないらしい。
(小柄なおばあちゃんなのに……案外力が強い人なのか?)
不思議に思っていると麗が口元に手をあてた。
「ふふふ、それじゃ皆さんさようなら。
朔ちゃんの言うとおり何かあったら相談してね。邦ちゃん、プリンごちそう様」
朗らかに告げる麗に言う言葉が見つからず、涼介は目を瞬く。
みのりの表情を伺うと、彼女の方も面食らったような顔をしていた。
「あ、ありがとうございます」
展開についていけないのかためらいがちに礼を言うみのりを横目に、
プリンから顔をあげた太一が手を振った。
「麗ちゃん、またね。朔太郎おじちゃん、バイバーイ」
のんびりとした口調で別れを告げる太一とは対照的に、
麻里が中腰で高松を見る。
「し、室……高松さん?」
立ち上がって追うべきか迷っているのだろうか。
不安げな面を浮かべる小越の様子を見て、
やっぱりこの人にも注意しておかないと、と内心で首肯した。
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