Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
三
IG
「気をつけてな。今度の茶会は朔ちゃんちだべ」
邦夫が麗さんに微笑む。
「鶯木さんと狼谷さんに感謝しなくてはいけませんね。
野臥間さん、申し訳ありませんがお礼を言っていたとお伝えください」
一礼する碧の様子を見て、涼介はふと吐息する。
「さすが碧さんですね」
こんなふうにフォローすることなど、自分には一生できそうにない。
(だからみのりさんも好きになったんだろうな)
これだけかっこいい人なのだから、みのりが好きになるもの無理はない。
(痛えなあ……)
身を引き2人の幸せを願うと決めたのに、胸が軋む。
もうどこが痛いのか正直わからないくらいだ。
(全然諦め切れてないってことか……)
それはそれで情けない。
溜め息を吐いていると、太一が袖を引っ張ってきた。
「お兄ちゃんは、このお兄さんを師匠にしてるの?」
太一の言葉に涼介は目を見開く。
「そうだよ」
動揺を悟られぬよう何気ない調子を装い返答すると、太一の目が輝いた。
「そうなんだー。師匠の師匠ってことは、ぼくの師匠にもなるね」
予想外の言葉を投げかけられ、涼介は慌てる。
「し、師匠って俺が? まいったなあ……」
そんな大層な人間ではないのに。
頭を掻いていると、碧がくすりと肩を揺らした。
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