Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





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「梅願の……から先がまったく解読できなくてさ」

(ここへ来るときに繋いだ手はあっちの手かしら?)


 すっぽりと包み込まれたときの感触を想い出し、頬が緩む。


「八蜘蛛神社で出てきたのも地図だったんだよ」

「そうだったのですか。どれどれ……」


 太一の言葉に碧が相づちを打ち、居住まいを正す。

古字をなぞっていた涼介の手が側近の手と入れ替わった。


(だから今は古字に集中するんだってば!)


 邪念を振り払うように頭を小さく振ると、麻里も地図を覗き込む

ように体を動かしていた。


「前に見たことのある字体ですね」

「俺も簡単なのならわかるがこれは無理だな……」


 山波が眉間に皺を寄せ、腕を組む。そんなに難解な言葉が

書かれているのだろうか。謙遜しているが、山波はそれなりに

読めていたはずだ。みのりは今度こそ真面目に解読しようと、

古字を凝視した。


「川と橋? それに……確かに梅願って書いてあるわね」


 他にも書いてあるが、読み取れない。文字自体は見たことが

あるから古字であることには間違いないだろう。しかしそれを

当てはめる字が浮かんでこない。


(なんだったかしらあの字? もう少しで思い出せそうなんだけど……)


 顎へ指を乗せながら思案していると、野木崎の称賛するような声が

聞こえてきた。










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