Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
三
II@
「梅願の……から先がまったく解読できなくてさ」
(ここへ来るときに繋いだ手はあっちの手かしら?)
すっぽりと包み込まれたときの感触を想い出し、頬が緩む。
「八蜘蛛神社で出てきたのも地図だったんだよ」
「そうだったのですか。どれどれ……」
太一の言葉に碧が相づちを打ち、居住まいを正す。
古字をなぞっていた涼介の手が側近の手と入れ替わった。
(だから今は古字に集中するんだってば!)
邪念を振り払うように頭を小さく振ると、麻里も地図を覗き込む
ように体を動かしていた。
「前に見たことのある字体ですね」
「俺も簡単なのならわかるがこれは無理だな……」
山波が眉間に皺を寄せ、腕を組む。そんなに難解な言葉が
書かれているのだろうか。謙遜しているが、山波はそれなりに
読めていたはずだ。みのりは今度こそ真面目に解読しようと、
古字を凝視した。
「川と橋? それに……確かに梅願って書いてあるわね」
他にも書いてあるが、読み取れない。文字自体は見たことが
あるから古字であることには間違いないだろう。しかしそれを
当てはめる字が浮かんでこない。
(なんだったかしらあの字? もう少しで思い出せそうなんだけど……)
顎へ指を乗せながら思案していると、野木崎の称賛するような声が
聞こえてきた。
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