Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
三
IIA
「さすがみのり様と梅八家の方ね。
私にはただの記号にしか見えないわよ」
解読できていないのだから、さすがとは言えないだろう。
みのりは訂正しようと口を開こうとしたが、涼介がいるほうから
もぞもぞと服が引っ張られ、言葉を発するどころではなくなって
しまった。
(え、何、なに?)
隣には涼介しかいないのだから彼がやっているのだろう。
脈打つ鼓動を抑えようと胸元に手を当て、目線を隣へ向ける。
だが視線に入ってきたのは青年の顔ではなく、薄茶色の髪の毛だった。
「ん? どうしたんだい、紅さん?」
涼介が首をかしげながら紅を見る。それもそのはずだ。
なぜわざわざ紅は、涼介との間に割り込もうとしているのだろう。
無理やり入りこもうとする彼女に、みのりは疑問符を浮かべた。
だが、それを問い正す前に、野臥間の声が聞こえてくる。
「ふむ。んじゃ、読んでみるべ」
「お願いします」
紅が何をしたいのかさっぱりわからないが、今は地図の解読が
先だ。みのりは彼女への質疑を後回しにして、野臥間へ先を促した。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|