Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIA




「さすがみのり様と梅八家の方ね。

私にはただの記号にしか見えないわよ」


 解読できていないのだから、さすがとは言えないだろう。

みのりは訂正しようと口を開こうとしたが、涼介がいるほうから

もぞもぞと服が引っ張られ、言葉を発するどころではなくなって

しまった。


(え、何、なに?)


 隣には涼介しかいないのだから彼がやっているのだろう。

脈打つ鼓動を抑えようと胸元に手を当て、目線を隣へ向ける。

だが視線に入ってきたのは青年の顔ではなく、薄茶色の髪の毛だった。


「ん? どうしたんだい、紅さん?」


 涼介が首をかしげながら紅を見る。それもそのはずだ。

なぜわざわざ紅は、涼介との間に割り込もうとしているのだろう。

無理やり入りこもうとする彼女に、みのりは疑問符を浮かべた。

だが、それを問い正す前に、野臥間の声が聞こえてくる。


「ふむ。んじゃ、読んでみるべ」

「お願いします」


 紅が何をしたいのかさっぱりわからないが、今は地図の解読が

先だ。みのりは彼女への質疑を後回しにして、野臥間へ先を促した。










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