Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
三
IIC
野臥間の言葉に涼介は首をかしげる。
「橋ってどこの橋だろう?」
黄梅には川があるから橋はいくつもある。
そのうちのどれかということなのだろうが、皆目検討がつかなかった。
さてどうしたものだろう。
腕を組んで考え込んでいると、野臥間が地図を指差してくる。
「ここ、ここんとこにちーっこく蝶布橋って書いてあるべ」
「え、あ! 本当だわ。蝶布(ちょうふ)橋って書いてある」
野臥間の指先を見てみのりが目を見開く。
「蝶布橋? 聞いたことないよ、ぼく」
太一が眉根を寄せて見上げてきて、涼介は肩を落とした。
「俺、梅願の辺りってよくわからないからなあ……」
正直に告げると、太一が残念そうな顔をする。
期待されているのはわかっていたが今回はそれに答えられそうもない。
「私も聞いたことないわね」
口元に手をあて野木崎が思案げな顔をする。
あちこちを自転車で回っている野木崎ならもしや、と思っていたので
少しだけ落胆していると、山波がおもむろに口を開いた。
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