Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
三
III
「本当に可愛らしい寝顔ですね!」
「あれから一度も目を覚ました様子がないんですよ」
ため息交じりの碧の言葉に太一が目を丸くする。
「え? 大丈夫なの?」
「死んじゃったの?」
恐るおそるというように野木崎が涼介を見た。
「息はしているみたいですが……」
「そこに何かがいるんだべか?」
不思議そうな顔をしている野臥間に紅が小さく頷く。
「小っちゃい雪姫、寝てる」
紅の言葉に野臥間のくりりとした瞳が一回り大きくなった。
「ほー雪姫様が……うーん、わしには見えんようだべ」
色々な手助けをしてもらってはいるが、
黄金梅自体を咲かしてはいないから見えないのだろう。
悲しげに眉を下げる野臥間を慰めるように碧が、雪姫の姿を説明する。
「ええ、時折寝言のようなものを言っているので
眠っているだけのようですね」
「よかったー」
碧の言葉に太一が心の底から安堵したといわんばかりに、
ほうっとため息をついた。みのりは少年を微笑ましく思いながら、
再度みんなを促した。
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