Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
一
G
碧の提案にそれぞれが頷く。
みのりは涼介に掴まれたままの腕のことも忘れ、ぎょっとした。
(何勝手なことを言ってるのよ)
このままでは本当に実家に連れて行かれてしまう。
なんとか彼らを引き止めなければ。みのりは説得を試みようと
辺りを見回す。しかし目に入るのは微笑ましそうに見てくる
者たちだったり、からかいを含んだようなニヤニヤした
顔つきばかりだった。
(この男を止めてくれそうな人はいないわけー)
小学生の太一ならば、大人たちとは違う対応をしてくれるかも
しれない。みのりは縋りつく思いで、少年を見つめる。
だが、山波と野木崎と話している太一と視線が重なることは
なかった。
「お兄ちゃんに任せれば大丈夫だね」
「馬に蹴られたくないからな〜」
「そうねー。恋路を邪魔すると馬に蹴られるっていうしね」
「おじちゃんとおばちゃん同じこと言ったー」
太一が、山波と野木崎が同時に発した言葉に無邪気に笑っている。
(ちょっと何和んでいるのよ! それに全然大丈夫じゃない
でしょう。あいつのどこを見て、そんな全幅の信頼を寄せるように
なっちゃうわけ?)
みのりは、助ける気配さえない太一たちに心の中で悪態をついた。
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