Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIIE




「ダメって聞かれても他のかただって予定があるでしょう?」


 野木崎がたじろぐように視線を周囲へ彷徨わせる。

みのりは野木崎に先手を打たれないよう山波と麻里へ声をかけた。


「山波さん、小越先生、この後お時間大丈夫ですか?」

「俺は別段かまいませんが」

「はい。私もすぐにでも行ったほうがいいと思います」


 何かと梅宮を立ててくれる山波ならば断わられることはない

だろうと思っていた。だが、麻里まで賛同してくれるとは

思わなかった。それは野木崎も同じだったみたいだ。


「え? そうなの? うーん、でも……そうよ。

まだ小学生の太一君だっているのよ。彼の保護者に申し訳ないわ」


 野木崎は今すぐにでも家に帰りたいのかもしれない。

今度は太一を理由に出してきた。しかし、それも不発に終わる。

太一自身がこちらの援護にまわってくれたのだ。


「ぼくも一緒に行きたい! 雪姫のかき氷はぼくが作るんだ!」


 瞳をキラキラと輝かせ、太一はやる気をみなぎらせている。

力強い少年の応援にみのりは嬉しくなった。










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