Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
三
IIIF
「太一君のご両親には俺から直接頼んでみますから。
今から行っては駄目ですか?」
(涼介が味方してくれた……)
真剣な眼差しで野木崎へ頭を下げる涼介に、みのりは鼓動を
高鳴らせた。顔をしかめ、にやけそうになるのを我慢する。
しかし上手くいかず俯いて誤魔化していると、
野木崎が訝しそうに涼介へ応えた。
「え。梅畑君がカズちゃんを説得するの?」
「はい。俺が直接電話でお話します」
これでこのまま解散という意見は野木崎だけとなった。
それなのに中々、意見を変えようとしない彼女に碧が話しかける。
「野木崎さん、
どうしても都合がつかないご予定があるのでしょうか?」
「都合がつかないわけじゃ、ない、ですけど……」
言葉を濁す野木崎へみのりは顔を上げ、ずいっと近づく。
「お願いします!」
みんなからの賛同を背に、頭をさげる。
さっきからずっとそばを離れない紅も一緒に頭を下げていた。
もしかしたら他の面々も同じような行動を取ってくれていたのかも
しれない。野木崎が心底、困ったというように慌てふためいた声を
あげる。
「わ、わかりました。わかりましたから、頭をあげてください」
「ありがとうございます」
みのりは満面の笑みを向け、もう一度頭を下げた。
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