Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IIII




「お騒がせして申し訳ありませんでした。

お茶とお菓子も美味しかったです。ごちそうさまでした」


 心から礼を言うと、紅も同意してくれる。


「プリン、美味しかった」


 紅の感想に野木崎がしみじみと頷くと、野臥間が心底嬉しげな顔をする。


「本当に生き返った気がしました」

「喜んでもらえてよかったんべ。またいつでも遊びに来て欲しいべ」


 鷹揚と言ってくれる野臥間の懐の深さに内心で感嘆していると、

いつの間にか部屋をでていた太一が近づいてきた。


「お兄ちゃーん、ママが電話で話したいって」


 携帯を持って袖を引く太一に、涼介は首肯する。


「ありがとう、太一君。

……もしもし、先程はお騒がせして申し訳ございませんでした。

それで、少しお願いがあるんですが……」


 親御さんへの電話は何度経験しても緊張する。

無理をお願いするのはわかっているだけに、

どうしたら納得してくれるかを考えると頭が痛い。

涼介は覚悟を決め、事情をある程度丁寧に説明する。


太一の母親は落ち着いたトーンで話を促し、

最後に「わかりました」と了承してくれた。

玄関先で靴を履き始めると、先に靴を履き終わった碧が別れの挨拶をする。


「野臥間さん、お邪魔いたしました」


 その後ろからさらに小越が頭をさげる。


「お邪魔いたしました」


 その言葉を合図に、涼介たちは野臥間邸を後にした。










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