Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
三
IIII
「お騒がせして申し訳ありませんでした。
お茶とお菓子も美味しかったです。ごちそうさまでした」
心から礼を言うと、紅も同意してくれる。
「プリン、美味しかった」
紅の感想に野木崎がしみじみと頷くと、野臥間が心底嬉しげな顔をする。
「本当に生き返った気がしました」
「喜んでもらえてよかったんべ。またいつでも遊びに来て欲しいべ」
鷹揚と言ってくれる野臥間の懐の深さに内心で感嘆していると、
いつの間にか部屋をでていた太一が近づいてきた。
「お兄ちゃーん、ママが電話で話したいって」
携帯を持って袖を引く太一に、涼介は首肯する。
「ありがとう、太一君。
……もしもし、先程はお騒がせして申し訳ございませんでした。
それで、少しお願いがあるんですが……」
親御さんへの電話は何度経験しても緊張する。
無理をお願いするのはわかっているだけに、
どうしたら納得してくれるかを考えると頭が痛い。
涼介は覚悟を決め、事情をある程度丁寧に説明する。
太一の母親は落ち着いたトーンで話を促し、
最後に「わかりました」と了承してくれた。
玄関先で靴を履き始めると、先に靴を履き終わった碧が別れの挨拶をする。
「野臥間さん、お邪魔いたしました」
その後ろからさらに小越が頭をさげる。
「お邪魔いたしました」
その言葉を合図に、涼介たちは野臥間邸を後にした。
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