Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
四
@
「ここが地図に書いてある橋?」
野木崎が両手をあげ伸びをしながら、前方を指差した。
一直線に繋がっている橋がオレンジ色に染まっている。
野臥間の家を出たあと早めの夕食を摂ったおかげで、時刻はまだ
夕方に差し掛かったばかりだ。普通なら車が複数走っていても
おかしくない道路は、獣人たちの居住区との境にある橋だからか、
1台もなかった。
(飛田さんが車を出してくれて本当によかったわ)
みのりが道路の端に停車し直している飛田の車を眺めていると、
涼介が腕を回しながら野木崎の隣に立った。
「そうみたいですね」
周りを見ると、みんな車内で凝り固まった体をほぐしている。
だがそれも無理もない。飛田が乗ってきた車は野臥間の家に連れて
行ってもらったときと同じ黒い車だった。
その車に運転手である飛田と助手席に座っていた山波の娘を含め、
合計10人が乗り込んでここまできたのだ。
明らかに定員オーバーだったが、太一が涼介の膝の上に座るという
荒技と比較的に小柄な女性が多かったことが幸いしてなんとか
無事に到着することができた。
(太一君が小学生で本当に良かったわ)
みのりは、胸の内で感謝しながら一際大きな声を出している
太一を見つめた。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|