Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





H




「兄さん、うざい」


 ぴしゃりと宣言され、碧の顔が情けないほどに歪む。


「べ、紅ー!」


 碧が叫ぶ。

本当に仲がいい2人だ。

おそらくこの寸劇はみのりの気持ちを和ませようして、

わざとしていることなのだろう。

どう考えても、この2人に敵うはずがない。


(いやいや、だから俺、諦めるって決めたわけだし)


 みのりの相手は碧以外にない。

やはり惹かれ合う者同士が幸せにならなければ。

涼介は小さく吐息し、改めて碧を見た。


「だから、あの、俺も邪魔しませんから。みのりさんをよろしくお願いします」


 口角をあげてなんとか言い切り一礼する。

だが、碧はそれに答えず紅へ心配げな顔を向ける。


「紅、どうしたんだい? 何かいつもと様子が違うよ?」


 妹思いもここに極まれりだな。

涼介は頬を掻いて、取りあえずみのりから距離を置いた。










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