Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
四
H
「兄さん、うざい」
ぴしゃりと宣言され、碧の顔が情けないほどに歪む。
「べ、紅ー!」
碧が叫ぶ。
本当に仲がいい2人だ。
おそらくこの寸劇はみのりの気持ちを和ませようして、
わざとしていることなのだろう。
どう考えても、この2人に敵うはずがない。
(いやいや、だから俺、諦めるって決めたわけだし)
みのりの相手は碧以外にない。
やはり惹かれ合う者同士が幸せにならなければ。
涼介は小さく吐息し、改めて碧を見た。
「だから、あの、俺も邪魔しませんから。みのりさんをよろしくお願いします」
口角をあげてなんとか言い切り一礼する。
だが、碧はそれに答えず紅へ心配げな顔を向ける。
「紅、どうしたんだい? 何かいつもと様子が違うよ?」
妹思いもここに極まれりだな。
涼介は頬を掻いて、取りあえずみのりから距離を置いた。
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