Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





I




『だから、あの、俺も邪魔しませんから。みのりさんをよろしく

お願いします』


 みのりは、涼介が碧に放った言葉に混乱した。


(もしかして涼介は、碧が私のことを好きだと思っているの?)


 碧が誰に好意を寄せているかなんて、一目瞭然ではないか。

涼介のとんでもない勘違いに胸がズキズキと痛んだ。


(涼介が私のことをなんとも思っていないことくらい知っていた

はずじゃない……)


 それどころか嫌われていると思っていたくらいだ。

それが違うとわかったのだからむしろ喜ぶべきではないだろうか。

そう気持ちを切り替えようとするが上手くいかない。


「この橋は!」


 突然雪姫がカゴの中で立ったまま動かなくなる。

そして彼女の青い瞳が光り出した。

いつもの自分だったら慌てふためいていたかもしれない。

けれども思った以上に涼介の言葉にショックを受けているようで。

みのりは雪姫の変化を、テレビを観ているような感覚でぼんやりと

眺めていた。


「うわぁ! どうしたの雪姫!」


 太一の悲鳴が周囲に木霊する。それに涼介が反応した。










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