Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
四
I
『だから、あの、俺も邪魔しませんから。みのりさんをよろしく
お願いします』
みのりは、涼介が碧に放った言葉に混乱した。
(もしかして涼介は、碧が私のことを好きだと思っているの?)
碧が誰に好意を寄せているかなんて、一目瞭然ではないか。
涼介のとんでもない勘違いに胸がズキズキと痛んだ。
(涼介が私のことをなんとも思っていないことくらい知っていた
はずじゃない……)
それどころか嫌われていると思っていたくらいだ。
それが違うとわかったのだからむしろ喜ぶべきではないだろうか。
そう気持ちを切り替えようとするが上手くいかない。
「この橋は!」
突然雪姫がカゴの中で立ったまま動かなくなる。
そして彼女の青い瞳が光り出した。
いつもの自分だったら慌てふためいていたかもしれない。
けれども思った以上に涼介の言葉にショックを受けているようで。
みのりは雪姫の変化を、テレビを観ているような感覚でぼんやりと
眺めていた。
「うわぁ! どうしたの雪姫!」
太一の悲鳴が周囲に木霊する。それに涼介が反応した。
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