Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
四
I@
「雪姫!?」
「どうしたの急に大きな声を出して……」
涼介の声に、少し離れた場所にいた野木崎が近づいてくる。
みんなが雪姫を見つめている中、みのりは涼介の顔へ視線をやった。
(嫌われてないってわかったんだもの良かったじゃない。
もしかしたらこれから好きになってもらえるかもしれないってこと
でしょう)
自分に言い聞かせる。
(まずは涼介の好きな女の子のタイプを知ることよね)
容姿は変えられないが、内面だったら涼介好みに変えられるかも
しれない。そんなことを考えていると、ふいに腕を揺すられた。
「お嬢さま、雪姫が! お嬢さま?」
「え? 何? どうしたの紅?」
心配気な顔で見上げてくる紅にみのりは首をかしげる。
だがそれは今の状況でしていい対応ではなかったらしい。
麻里と涼介から訝しげに声をかけられてしまった。
「みのりさん?」
「みのりさん!」
まさか本人の前で涼介のことを考えていました、などと言える
わけもなく。呻くように口の開閉を繰り返していると、碧の
呆れたような声が聞こえてきた。
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