Gold Plum
第五章
自覚
〜みのり&涼介の場合〜
四
IC
「……ありがとう、紅」
視線を向けてきたみのりに笑いかけたはずが、
ふいと視線を逸らされた。
(やっぱ碧さんに勘違いされちゃったのか)
こうなることはわかっていたはずだ。
そうだ。俺はこれでいい。
少しでも彼女の助けになれればそれで。
納得したつもりでいるはずなのに胸の奥がぐりりと痛む。
「早くわらわを運ぶマロ!」
目覚めたとたん急かしてくる雪姫に反応して、
咄嗟にみのりの手を取った。
「行こう、みのりさん」
だが、ぐいと手を引く前に紅に遮られてしまった。
弾かれたようにみのりを振り返ると、彼女が苦しげに
面を歪めるのが目に入る。
「あ……」
これもまずかったのか。
涼介は言うべき言葉を失い知らず俯く。
別にみのりを独り占めにしようと思っているわけではない。
言い訳しようとして、紅のキツイ視線とぶつかる。
――嘘つき!
まるでそう非難されているかのようだ。
(俺……)
涼介は自身の本音に身を震わせた。
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