Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





IC




「……ありがとう、紅」


 視線を向けてきたみのりに笑いかけたはずが、

ふいと視線を逸らされた。


(やっぱ碧さんに勘違いされちゃったのか)


 こうなることはわかっていたはずだ。

そうだ。俺はこれでいい。

少しでも彼女の助けになれればそれで。

納得したつもりでいるはずなのに胸の奥がぐりりと痛む。


「早くわらわを運ぶマロ!」


 目覚めたとたん急かしてくる雪姫に反応して、

咄嗟にみのりの手を取った。


「行こう、みのりさん」


 だが、ぐいと手を引く前に紅に遮られてしまった。

弾かれたようにみのりを振り返ると、彼女が苦しげに

面を歪めるのが目に入る。

「あ……」


 これもまずかったのか。

涼介は言うべき言葉を失い知らず俯く。

別にみのりを独り占めにしようと思っているわけではない。

言い訳しようとして、紅のキツイ視線とぶつかる。


 ――嘘つき!


 まるでそう非難されているかのようだ。

(俺……)


 涼介は自身の本音に身を震わせた。










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