Gold Plum





第五章


自覚


〜みのり&涼介の場合〜





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そうだ。嘘だ。俺は嘘を吐いているんだ。


(本当は独占したいんだ)


 本当は碧にも紅にも、太一にだって触れられたくない。

でもその想いは、彼女たちにとって迷惑でしかないだろう。

(今は、そんな場合じゃないしな)


 握り締めた拳を強くしていると、野木崎が小越に告げる。


「雪姫様もああ言ってるし大丈夫よ、きっと。さ、行きましょう」

「はい」

 歩いて橋へと向かう小越たちを何気なく眺めていると、

さらに前方から太一の声がした。


「うわぁー、ツルツルして滑るー!」


 太一の叫びに碧がみのりと紅を見やる。


「紅、足元気をつけるんだよ。あ、一応お嬢さまも気をつけてくださいね」


 優しげに目を細める碧にみのりが頷く。

ねじ切れるかと思えるほどの痛みが胸に去来し、涼介はシャツを掴んだ。


「お兄ちゃんたちー! 早くー!」


 太一の朗らかな声が耳に響き、我に返る。

いけない。普通にしていなくては。


「ああ! 今行くよ!」


 涼介はみのりたちから視線を外し、太一の元へ向かう。


「お嬢さま、行こう」

「ええ、そうね」


 紅の言葉に同意するみのりの声を未練がましく追っていると、

その後ろから山波が声を張った。










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