Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


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　運良く客が途切れていたようだ。

爽やかなジャズが流れている店内は誰もいない。

律子が密かに安堵していると、注文の品が運ばれてくる。

律子は、目の前に置かれたアップルパイをしげしげと見つめた。


（これ今日２つ目のケーキなのよね。食べ過ぎかしら？）


　午前中に麻里からのお土産を食べたばかりだ。

何も考えず、いつもの癖で頼んでしまった。

脳裏に、プラスに傾いた体重計が浮かぶ。


（いいえ、これは正当な報酬だわ。

きっと神様が危険手当を私にくれたのよ！）


　罪悪感を拭い去るため、自分自身へ言い聞かせた。

麻里が横で歓喜の声を出す。


「わーおいしそう！　砂糖は入れる？　うーん、

入れすぎはよくないけどやっぱりミルクティーは甘いほうが……」


　ロイヤルミルクティーを眺めながら自問自答している麻里へ

直実が話しかける。


「ケーキが甘いから砂糖は入れなくてもおいしいんじゃないかしら？」

「そうですか？　そうなのかな……」


　甘くないロイヤルミルクティーを想像することができないのかも

しれない。麻里は、直実の提案に首をかしげながら応えている。

律子はそれを目の端に捉えながら、麻里たちが頼んだケーキへ

視線を向けた。