Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


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　直実の話は続く。


「まあ、彼が獣人だったってことも一因していたと思うんだけどね」


　直実の言葉に律子が問いかけた。


「お義姉さんも獣人を、その苦手だと思っていた時期があるんですか？」


　律子の疑問は麻里も思っていたことだった。

黄梅の人間は獣人と一定の距離を保って生活しているらしい。

だが、律子が直実にはそれが見られないせいもあって、

あまり実感が湧かないのである。


（そもそも梅宮さんだって獣人の子が親友だし）


　あそこまで一緒にいるのだから、

梅宮家はむしろ獣人に寛大なのだとさえ思っていたほどだ。

「私も黄梅市の人間だからね。

大輔さんに出会うまで獣人に知り合いなんていなかったから、

勝手に怖いイメージを持っていたの。


それは律ちゃんもそうだったんじゃない？」


　直実が首を傾けると、律子が一瞬言葉を詰まらせた。

長くない沈黙が落ちたあと、律子がためらいがちに首肯する。


「……はい。もちろん今は違いますよ。だけど、昔は」

「そうなんですか……」


　２人が獣人を苦手にしていたなんて。


（満さんはどうなんだろう？）


　今の話を聞いて、傷ついていなければいいが。

今一度満へ視線を移すが、_

彼の表情は先ほどとは打って変わって穏やかだった。