Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


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　律子は昔を懐かしむように語られる直実の話に胸を弾ませていた。


「ん？　あれ？

そしたらお義姉さんはいつお義兄さんを好きになったんですか？」


　初めて知る内容に驚きつつ、首をひねる。

麻里が食い気味に賛同してきた。


「ですよね！」


　興奮しているのだろう。

鼻を膨らませ、瞳を輝かせながら直実を見ている。


「それはね、就職してすぐに私の両親が亡くなってしまったの。

突然の事故だったわ」

「え……」


　義姉の言葉に、麻里の表情が一瞬にしてかげった。楽しい思い出が

語られると思っていたのだろう。

律子も沈痛な面持ちで、夫から聞いていた話を口にした。


「大雨のときのスリップ事故だったって聞いています」


　夫、誠と結婚する前に何気なく話され、驚愕したことを今でも

覚えている。


（お義姉さんの顔、あの頃のまこっちゃんと同じ顔だわ）


　姉弟の中では、すでに思い出として整理されているのかもしれない。


（まこっちゃんなんてご両親が亡くなったことよりも、

お義姉さんたち夫婦に育てられたことを誇らしげに

言ってたもんなー）


　律子が当時のことを思い出し耽っていると、直実があっ気らかんと

続きを話し始めた。