Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





IA




「おやおや拗ねてしまわれたのですか?

困りましたね。でもまあ、そうですね。

あの方以外には今のところ仕えたくはないと思うほどには

大切に想っておりますよ?」


 この期に及んで使用人としての立場を優先しようとする

彼の姿勢には感服する。

 尊敬もしている。

 だが、ここはもうはっきりとみのりへの感情を吐露して

もらわなければ困る。

 涼介は決意して碧へ、でもですね、と反論した。


「道化にだって道化のプライドってもんがあるんですよ、そうでしょう?

碧さん。どうしたって気持ちは止まらないし止められないし……」


 だんだん愚痴っぽくなってきた。


(違う。こんなんじゃなくて、もっとスマートに思い切ってしまいたいのに)


 これでは未練たらたらだということがバレてしまうではないか。

内心で冷や汗を流していると、碧が困ったように眉根を寄せた。


「おやおや涼介君はずいぶんとみのりお嬢様のことを大切に

想っておいでのようですね。側近としては嬉しい限りです」


 そんな言葉を聞きたいわけではない。苛立ちが頂点に達し、

涼介は声を荒らげる。


「いいですか? それでもどうにかこうにか抑えて彼女の望むように

生きていこうとしてるんじゃないですか。

それなのに、こんな意地の悪いことしなくったって。

試すにしたってもう少しやりようがあるんじゃないですか?」


 言いたいだけ言い切り碧を睨み据えると、心底楽しげな

碧の瞳と視線がぶつかった。










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