Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


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「お、なんですか、それ！　満さんはそんなことしません！」


　そうだ。

いつでも紳士的な彼が突然そんなことをするわけがないではないか。

少しばかり憤慨して否定するも、律子が声を張ってくる。


「何言ってるのよ！　あの満君よ？　

麻里さんが告白する前から頭なでたり、ほっぺた触ったり、

顎クイッってされてたじゃない！」


　律子の言葉に麻里は身を固めた。そんなことがあっただろうか。

いや、あったかもしれない。

だが、いろんなことに精一杯で。

今思えば、目の前の満に舞い上がってしまい、そんなことを気にしている

暇もなかった。


（満さんってそんな人だったんだっけ？）


　ヒーローのように現れる彼にのぼせ上がっていたから、

少しも気にしていなかった。


（も、もしかして、女性に慣れてるとかそういう感じ？）


　あんなにかっこいい人だったら経験も豊富に違いない。


（それなのに私ってばノーリアクションだったし……）


　自分の気持ちに気づいていなかったのだからしかたないのかもしれないが、

チャンスをみすみす逃してしまうなんて。


（嫌われて当然だったのかも）


　頭を抱えていると、直実ののんびりした声が耳に届いた。