Gold Plum

第六章


対峙


〜律子＆麻里の場合〜


二


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「麻里さんにとったらヒーローかもしれないわねー」


　深く首肯する律子の前でさらに全身を熱くさせていると、

ふいに誰かのバイブがなった。


「あ、ちょっとごめんなさい。メールがきたみたい」


　律子の言葉に麻里は目を瞬く。

スマートフォンを確認した律子が少し深刻げな声音で内容を説明してくれる。


「梅畑君からだったわ。無事に山波さんに会えたって」

「本当ですか！　よかった！」


　ほっとして口元を緩めるが、律子の顔は曇ったままである。


（何かあったのかしら？）


　確か梅畑君の実家に帰っているはずだが。

説得できていないのだとしたら、自分たちも加勢するべきなのだろうか。

問いかけようと口を開くが、先に直実が声をあげた。


「律ちゃんたちって、梅八家の方とも知り合いなのね」


　意外そうな口ぶりに、麻里は我に返る。


「いろいろと事情がありまして……」


　この人を巻き込むわけにはいかない。

色々考えすぎて言葉を詰まらせると、律子が加勢してくれる。


「麻里さんと知り合ったら、いつの間にかって感じですけどね」


　軽く肩を竦める律子を見て、麻里は首を縦に振る。


「私もほとんど成り行きなんです」


　嘘は言えないが、真実を告げるわけにもいかない。

だが、直実は何かを察しているようだった。


「ふふふ。詳しいことは聞かないでおいてあげるわ」


　歌うように紡がれた言葉に、麻里は胸を撫で下ろす。


「ありがとうございます」


　色々な意味を込めて一礼すると、直実がまた鈴の鳴るような音で笑った。